紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク | 紀伊・環境保全&持続性研究所 連絡先:kiikankyo@zc.ztv.ne.jp |
ホーム | メールマガジン | リンク集 | サイトマップ | 更新情報 | 研究所 |
思うに、農山村の疲弊は、薪・木炭から化石燃料への移行、国産材から輸入材への移行、安価な輸入農産物の増加、地域外からの食料・物品の流入など、身近で豊富な地域資源の利用が安い輸入物や地域外からの物財によって侵食された結果であると言える。
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)等により更に追い打ちがかかることが予想されるが、一方、原油価格の高騰、海外の森林資源の減少と円安等から最近輸入木材の価格が上昇傾向にあるなど、里山の産業が息を吹き返すチャンスが訪れている。技術革新や電力の固定買取制度による木質バイオマス燃料の活用、CLT(直交集成材)などによる新建築様式の模索、地元産農産物をふんだんに用いた料理とレストラン、農産物等の地産地消が増えている。今や、里山での様々な新しい動きは、日本や今後日本以上に急速な高齢化と人口減少に見舞われると見られるアジア諸国も含めて最先端の試みとなると位置づけられている。
本書は、里山、農山村地域の豊かさと可能性を再認識させてくれる。多くの人が感じている将来的な不安、それは、国家の膨大な財政赤字による経済的破綻、年金の少子高齢化による破綻、急速な人口減少などによるものであるが、著者は、そのような不安の時代にあって、まだ日本には里山という暮らし方があるではないかということを示してくれている。
本書は、厳しい時代状況の中で、農山村で地域活性化に汗を流している方々の励ましとなる。また、農山村地域に住む方々にとって、ここが安心と元気な気持ちを与えてくれる場所であることを再確認させてくれ、都市住民にとっても老後は田舎に住んでみたいという気持ちを起こさせる内容を持っている。
なお、本書は、中央公論社が主催する「2014年新書大賞」を受賞しており、本書が多くの方に読まれている評判の一冊であることを示している。 (2014年3月4日/MM)
「本の紹介」へ
「ホーム」へ
外部リンク
(Amazonアフィリエイト)
https://amzn.to/3pbAWGB
(楽天アフィリエイト)
https://a.r10.to/hlWzy6